ナラタージュとは、「映画などで、主人公が回想の形で、過去の出来事を物語ること」。
結果的には結ばれることはなかったけれど、あの人を想う気持ちは、ずっと変わらない。 |
そんな幸せで、かつ切ないあの人への気持ちを、まだ大学生だった(今も?)作者がその瑞々しい感性で描いた、恋愛小説です。
この小説を読んだら、自分の過去の恋愛を振り返らない人はいないのではないでしょうか?私は、昔とても好きだった人のことや、とても好きでいてくれた人のことを思い出してしまいました。私の場合、きっと昔と今では気持ちは変わっています。が、あの頃の気持ち、楽しかったことや悲しかったことを思い出そうとするたびに、何だか暖かくて、優しい気持ちになれるのです。そういった意味も含めて、この小説は読者にもナラタージュさせる力を持っているのかもしれません。
正直なところ、この小説の主人公である女性が今も愛しているあの人。死語かもしれませんがいわゆる 「だめんず」 という部類に属する奴です。だけど、そんなあの人をどうしても嫌いになれない、忘れられないところが、逆にこの物語にリアリティを持たせているのだと思います。やっぱり相手が完璧すぎる男性だと、そもそも心を通い合わせることのできるシーンがどういったものになるのか、うまく想像できません。
1年と少し前に発刊された小説ですが、とても大学生が書いたとは思えない、高い完成度を持った小説です。恋愛小説に抵抗のない方なら、読んで損をすることはないと思います。強いて言うなら、特に独身男性の方にオススメかな?
もし感情移入をして読み進めることができたら、ラストはきっと感動すると思います。私は少しだけ泣きそうになりました。(もう年かも。。。)