早いもので、ハートレイルズも創業してから 4 年と半分が立ちました。その間たくさんのサービスを立ち上げて、それなりに使われているもの、そうでないものも様々ありますが、まだまだ目指している姿には遠く及ばないのが現状です。もちろん、今後はより一層の覚悟と情熱を持って事業を推し進めていくわけですが、今日は少し、今までの 4 年と半分を振り返ってみました。
創業前にはよく分からなかったこと、創業してしばらくしてから気付いたこと、創業してから考え方が変わってきたこと、等々を実感と共にまとめてみます。特に起業を考えている方の参考になれば幸いです。(長いので適当に読み流してください。)
ビジョンについて
インタビュー記事ではビジョンは必要ないと言っていますが、これには少し語弊があって、ビジョンは必要だと思います。記事にあるようにハートレイルズでは特定の分野に対する大袈裟なビジョンは定めていませんが、全体としてのビジョンは定めています。また、一時期話題になった経営理念もあります。
その会社が何を目指すのか、ということをビジョンとして掲げることは、同じ志を持つ同志を集めるためにも非常に重要なことだと思います。
創業時の人数について
ハートレイルズは 2 人で創業していますが、これは良かったと思います。1 人がダメということはないと思いますが、信頼できる同志が既にいるなら、一緒に創業しない手はないでしょう。1 人ではできないことができるようになります。
創業時の資本金について
ハートレイルズの資本金は 300 万円ですが、それで困ったことはありません。創業時のお金については家計と同じで、収入と支出のバランスや先々の見通しさえ誤らなければ、大きな問題にはならないと思います。
資金繰りについて
ハートレイルズは銀行からお金を借り入れたことがないため、資金繰りについてはよく分かりません。仮に用途がなくても後々のために (銀行の信用を得るために) 借りておいた方が良い、と先輩方からはよく聞くので、おそらくその通りなのだと思います。イザというときにお金を借りられないと困る、ということはあり得るので、これはハートレイルズにとっても TODO かもしれません。
人脈について
人脈はあるに越したことはありませんが、ただ単に名刺をバラ撒いて無理に作れるものでもありません。これは創業後に痛感したことですが、会社というのは何を成したのかが全てで、それによってのみ評価されます。人脈がない場合には人脈を作ろうと無理に努力するより、イケてるサービスの一つも作った方が、結果的に人脈は広がると思います。
投資について
ハートレイルズは投資を受けていませんが、投資を否定しているわけではありません。ビジョンの実現、事業を推し進めるために必要な投資は (可能であれば) 受けるべきだと思います。ただ、用途のないお金を無駄に貯め込み、腐らせることは (想像でしかありませんが) 会社を腐らせることにもつながると思います。そのため、適切な額の投資を適切な条件で受けることが重要だと思います。
体制について
ハートレイルズは創業当時から人材もクラウド (在宅勤務可)、環境もクラウドですが、これは良かったと思います。(もちろんオフィスもあって良いと思いますし、オフィスでなければならない場合もあります。)
受託開発の場合にはなかなかそうはいかないと思いますが、最近入社した自社サービス担当の彼は、未だにオフィスに来たことがありません。文字通り一度もないので、オフィスの場所も知らないと思います。それでも仕事が回るということ自体が、(特定の仕事は) オフィスレスでも十分、ということを証明しているようです。
採用について
ハートレイルズは昔よりも今の方が採用に力を入れています。ビジョンの実現、事業を推し進めるために必要な人材は (可能であれば) 採用していくべきだと思います。ただ、取りあえず忙しいので人を増やしておこう、的な採用はお勧めできません。人材を採用し、長期に渡り雇用し、育てる、ということには、創業前には想像もできないようなコスト (お金だけではありません) がかかり、また、基準に満たない人材が会社にいることは、場合によってはその会社にとってマイナスに働きます。そのため、お金が余っている時でも採用の基準は一切下げるべきではないと思います。
事業の拡大について
ここは以前とは考え方が違うところですが、事業は積極的に拡大していく (上を目指していく) べきだと思います。文章にしてみると至極当たり前のことなのですが、一旦事業が安定してくると、無意識のうちに気持ちまで安定してしまいがちです。もちろん、安定するのは良いことなのですが、上を目指すハングリー精神まで失ってはお終いだと思います。(今思うと昔はここが少し欠けていたような気がします。草食系過ぎた。。。)
ビジネスモデルについて
ここはハートレイルズが今まで弱かった部分で、今後は強くしていきたい部分です。ビジネスモデルは後から付いてくる、まずはサービスをリリースしてから考えよう、というのは多くの場合誤りです。ビジネスにするつもりがなかったサービスがたまたまヒットして、色々なビジネスモデルを後付けしていく、ということはあり得ます。ただし、初めからビジネスにするつもりなら、ビジネスモデルも初めから熟慮しましょう。仮にサービスがヒットしてもビジネスモデルが不出来だと、継続的な成長は見込めません。ハートレイルズもそれで多くのトラフィックをお金に換金し損ねました。
サービスの制作について
まず、ビジネスモデルも含めて、制作する前に勝負が決まっている (負ける) ようなサービスも多々あるので、そこは慎重に検討しましょう。サービスの制作自体には色々なやり方がありますが、小さく産んで大きく育てることを前提に、初期の予算とスケジュールは徹底するべきだと思います。
初めからあまり巨大なものを制作しようとしても途中で破綻する可能性が高く、また、仮に破綻しなかったとしても巨大なものを改修するには巨大なコストがかかります。これはユーザーの声を反映しづらくなることを意味するので、得策ではありません。(ハートレイルズに制作を依頼するのは得策です^^)
また、人は見た目が 9 割と言いますが、サービスは分かり易さが 9 割です。直感的でないものが長く使われることはないと思います。サービスの初速向上のための TIPS などは既にたくさんある他のエントリーに譲りますが、とにかく独りよがりにならないよう気を付けるのが良いと思います。
サービスの多産について
サービスの多産のデメリットは単純にリソースの集中が難しくなることです。ハートレイルズはこの難しさとは常に格闘していますが、基本的にはもちろん、全サービスに均等にリソースを配分しているわけではありません。必然的に、ユーザー数が多いもの、またはユーザー数が多くなる可能性があるものに注力することになります。ほぼ放置状態のサービスを終了させるかどうか、という問題もありますが、いずれにしても、ある程度の選択と集中は必要だと思います。
また、ソーシャルゲームや iPhone アプリ等、継続的な新規開発がある程度前提になるような分野もあります。そういう意味で、最近は多産そのものがどうこうというよりも、集中するべき時に集中できる体制が整っているかどうか、ということが重要だと思うようになりました。
この集中するべき時、というのは非常に重要で、ここを逃すと大きな成長が望めなくなる、というタイミングが、サービスの運営の過程で訪れることがあります。このタイミングを逃さず、リソースを集中することが肝要です。(ハートレイルズでもうまくできているとは言い難いのが現状ですが、うまくするための体制を整えつつあります。)
また、多産とは逆の話ですが、流行る見込みのないサービスにいつまでも固執し続けるのも考え物です。サービスを見切る、次に行くタイミングを見計らうのは難しいことですが、時には必要なことだと思います。
受託開発について
まず、時間というのは無理やりにでも作るもので、「自社サービスを制作したい、だけど受託開発が忙しくて制作できない」 というのは言い訳です。受託開発に割くリソースを少し減らして、自社サービスの制作に回す、程度のリスクを背負えなければ、どのみち自社サービスを運営しても何らリスクを背負えず、うまく立ち行かないでしょう。
受託開発そのものについては、やりたい会社はやればいいし、やりたくない会社は投資を受ける等してやらなければいいと思います。一番良くないのはやりたくないのにやっている状態で、それは受託開発のクライアントにも失礼なことなので、そういう状態になることは避けるべきだと思います。
社長になることについて
社長になり会社が少しづつ大きくなると、実際の制作に携われる時間は少しづつ減っていきます。これは人によっては大変ストレスの溜まることなので、ある程度覚悟しておいた方が良いと思います。また、仮に社員であっても人に仕事をお願いするというのは難しいことですが、逆に言うと、人に仕事をお願いし、協力しながら物事を進めていくというのは、ある意味で感動的なプロセスだなと、しみじみ感じるようになりました。
以前の会社では当たり前に機能していたことが、実は大変な努力によって維持されている。当たり前が、実は当たり前でないことを知る。そういうことが本当にたくさんあった 4 年と半分だと思います。
以上、過去最大長のエントリーになりましたが、今日はこの辺で。今年はハートレイルズにとって最高の年になるよう、既存のサービスの改善、新規のサービスの制作を全力で進めています。どうぞ、ご期待ください。(最近リリースした 3arrows もよろしく!)
※ 他に興味のある項目があれば教えてください。追記したいと思います。
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