各所で酷評されていた恋空、その酷評の多さに逆に興味を引かれ、PC で “ざっと” 読んでみた。想像していたよりも遥かにボリュームがあったため、結構読み飛ばしている部分も多いはずだが、個人的には、そんなに酷評されるほど悪くはないかな、というのが、まず第一の印象だ。(とはいえ、お金を出して購入したいとは思わないが。)
他愛のない日常会話、そして、どこかで既に読んだことのあるような、ある意味では使い古された、非日常的な出来事達。そうしたエピソードを冗長と表現できるほどに繰り返していく構成は、何となく、その文章の質は別として、泣きゲーと称されるようなゲームシナリオの構成にも似ているような気がした。
こうした冗長な物語は、例えば、そのまま書籍にしても、多分面白くはならない。書籍は、読み飛ばすことが PC や携帯、ゲームに比べて非常に難しい媒体だからだ。今回流し読みした恋空にしても、書籍なら読んでいてその冗長さにきっとイライラしたと思うが、PC という媒体で、さらに、章立てのサイトマップもあったため、そうしたストレスはほとんどなかった。極論すれば、恋空は自分に合いそうなエピソードだけを選択して、つなげて読めるような構成になっているし、ある意味ありきたりな展開であるが故に、読み飛ばすことによって話の流れがわからなくなる、といった不安も全くない。
また、内容に関しては確かに突っ込みどころは満載だが、逆にそのことがこのケータイ小説を面白くしているとも言えると思う。例えば、主人公が愛することになる男のダメさ加減は読んでいて笑ってしまうほどだが、過去の経験を踏まえると、意外とこういう男が愛されるのにもリアリティがある。伏線のない唐突な展開にも一部では酷評が集まっているようだが、そもそも推理小説ではないのだから、日常を語るのに必ずしも伏線が必要であるとは思えない。大体において、実際の日常は唐突な展開だらけだ。
恋空や恋空に対する無数の突っ込み、感想、酷評を通して、今まで小説を読んでこなかった層が小説を読むきっかけをつかんだり、また、愛について意見を交換するような機会が得られるとするなら、それはとても良いことだ。もしそうなれば、それだけでも、このケータイ小説には非常に大きな価値があったのではないか?
それにしても、日本の Amazon の読者レビューには結構酷いものが多い。ろくに読みもせずにただ短い罵倒を繰り返しているだけのレビューは、スパム以外の何物でもない。US の Amazon とかだと、私の知る限りでは、酷評するにしてもきちんとその根拠を論理立てて示していることが多い気がする。単に私の気のせいかもしれないが、カルチャーの差か何かによるものだろうか?
カルチャーの差っていうのは多かれ少なかれ必ずあると思いますね。日本(もしくはアジア)の文化には、妬みの色が強い気がします。
留学中に、アジアからの語学留学生が、「うらやましい」と表現したいときに、envy という単語を選ぶことが多く、微妙な違和感を覚えたものでした。(ネイティブは普通、jealous を使います。)
妬けちゃうなーくらいのニュアンスと、妬ましい、のニュアンスの違い。これはもちろん、辞書を引くとそう書いてあるから、というところに起因するのだと思いますが、辞書を作った人たちの文化的な背景も少なからずあるのかなと。
他人は他人、自分は自分の文化圏では、自分がくだらないと思うものにコメントすること自体が、(たとえ匿名でも)くだらない行為だ、ということなのかもしれません。
なんだか長文になりました。
次のサービスリリースも楽しみにしてます!
確かに、妬みの色は若干強いのかもしれませんね。
前職では頻繁に欧米のエンジニア達と議論をする機会があったのですが、やはり相対的に、日本人よりも自己主張が強いと思います。自己主張の強さには良し悪し共にありますが、その分、周りに流されない、確立された強さがある。
いずれにしても、自分が共感できない、面白いと思わなかっただけのことを、作者の人格批判や作品への罵倒に転化しているようなレビューは、読んでいて非常に不愉快な気分になるので、私もそういうレビュワーにならないように気を付けたいです。
後、新サービスですが、12 月は怒涛のサービスラッシュを実現できそうな見込みですので、今しばらくお待ちください^^