『スパニッシュ・ホラー・プロジェクト 産婦人科』
スパホラ六本目、『産婦人科』。裏家業で中絶手術をしている診療所で、摘出した胎児の一体が処分(=トイレに流す)する前に紛失してしまう。やがて奇妙なことが起こり始め、ついには殺人事件までもが。そんな『悪魔の赤ちゃん』水子版みたいな話。
ストレートに『産婦人科』という、あまりと言えばあんまりな邦題だが、その名に恥じぬくらい地味な内容。水子の霊なのか何なのかよく分からないものに主人公が振り回される、というだけのもので、ラストもおそろしく盛り上がりに欠けたまま終わる。おそらくは中絶反対というテーマを込めた作品なのだろうけど、いかんせん面白くない。残念ながら、ラリー・B級・コーエンの『悪魔の赤ちゃん』、ポランスキーの偏執的な傑作『ローズマリーの赤ちゃん』といった、「赤ちゃんホラー」ジャンルの偉大なる先駆者には遠く及ばない。ただ、ホルマリン漬けの胎児はちょっとリアルに気持ち悪かった。見所を挙げるとすればそれくらい。(★★)