[映画] 『ヘアスプレー』
10月公開映画の中で最注目作(僕の中で)の、『ヘアスプレー』を。あの『ピンク・フラミンゴ』のジョン・ウォーターズ監督作品の中では比較的に変態性の薄い『ヘアスプレー』の、リメイク版。まあハリウッドのメジャータイトルだし、そこそこ無難な出来になっているだろうと思って観たら。
これがなかなか、普通に面白かった。いや、本当に。黒人差別やデブ差別をテーマに据えながら、底抜けに脳天気でポジティブな展開で微塵も深刻さを感じさせずに、勢いで最後まで突っ走る、娯楽ミュージカルの鑑のような作品だった。ジョン・ウォーターズ(とディヴァイン)の変態性や皮肉っぽさはもはや感じられないが、代わりに「『ヘアスプレー』ってこんなにいい映画だったっけ?」って思ったくらい、万人受けし得る一級の娯楽作品に生まれ変わっていた。日本では大ヒットはしないだろうけど、60年代のロケンロールと無駄に明るいミュージカルに抵抗の無い人なら、頭を空っぽにして楽しめるはず。
それにしても、クリストファー・ウォーケンとジョン・トラボルタが夫婦役で共演するのを観る日が来るとは思わなかった。