『劇場スジナシ・東京公演』
WOWOWにて、『劇場スジナシ・東京公演』を。スジナシとは、二人の役者が、舞台設定と衣装を除く一切の打ち合わせを禁じ、ノーリテイク、ノンストップにて行う、演るか演られるかの演劇真剣勝負だ。考案者である笑福亭鶴瓶がホストをつとめ、毎回違うゲストを呼んでこうした寸劇を行うという、名古屋のローカル放送があるらしい。その東京公演が衛星で放映していたので、何の前知識も無く観てみたのだけれど。
これがまた。面白い。
劇それ自体がどうこうというのではなく、出演者二人の腹の探り合いや、意図のすれ違い、予想と違う展開の際に垣間見える素の表情。そうした諸々の、演劇本来の楽しみ方とは微妙に異なる部分が、何かと面白い。
放映回のゲストは広末涼子。例えば鶴瓶さんが広末と微妙に遠慮した距離感を保っていたり、後ろから突然広末に抱きつかれて素で挙動不審に陥ったり、あるいは演技で笑顔を見せていた広末が、予想を裏切る鶴瓶さんのセリフに「あ? 何言ってんのこの薄らハゲ」的な表情に変わったり。
20分を超える即興劇の後、出演者二人で録画を観ながらトーク。ちょっと説明し過ぎという気がしないでもなかったけど、この方式も慣れてくると、本編を観るときに「これ後のトークでどう言い訳するんだろう?」という楽しみにつながりそうだ。所々、本当に苦し紛れに出たっぽい設定があって、その意図を何とか説明しようとするあたりもちょっと面白い。
演劇の内容ではなく即興劇を演じている人それ自体を観るという、ある意味メタ的な楽しみ方を要求される、スジナシ。名古屋ローカルのため観れないのは残念だが、DVDも出てるようなので、ひとまずそちらから観てみようかと。