September 8th, 2007
ジョレミ―・ドロンフィールド作、『飛蝗の農場』。郊外で飛蝗の飼育場を営む女性が、嵐の夜に雨宿りを求めてきた見知らぬ男をショットガンで撃ってしまう。女は、ショックで記憶を失った男を介抱し、記憶を取り戻す手助けを始めるが、やがて「汚水溝の狩猟者」を名乗る連続殺人鬼が二人に迫る。
という、ちょっと『イングリッシュ・ペイシェント』っぽい設定のサスペンス小説。何年か前の「このミステリーがすごい!」海外部門一位の作品、ということで読んではみたものの、どうにも乗り切れないまま終わってしまった。それほど欠点があるわけでもないが、全体として中途半端な印象。ありえない偶然や犯人の突拍子が無さすぎる動機のおかげでミステリーにはなりきれてないし、サスペンスとしては登場人物、特に真犯人の魅力が薄すぎる。もう少し描写や設定が写実的でなければ良い幻想小説になった気もするが、そんな感じでも無い。あとがきと解説にも重ねて書かれている、「なんだ、これは?」というのが感想として一番しっくりくる、そんな小説。文章は達者で構成もしっかりしているだけに、少し残念だ。
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September 4th, 2007
これは素晴らしい。Mozillaを使って何か作りたい、という全国の組み込みMozillaプログラマにとって役に立ちそうなドキュメント(しかもネイティブ日本語の!)が、しばらく前から公開されていたようだ。
組み込みMozillaの勉強と言えば、以前は公式ページ、前人たちのソースコード、XULPlanet.com、そして英語版Googleを通じて学び取るのが普通だった。Extensionに比べてビルドからして難しいこともあり、なかなか敷居が高い代物ではあったけど、これから始める人はこのドキュメントでかなりショートカットできるだろう(それでも初めてmakeして動くまでは何かしら苦労すると思うが)。
個人的には、すぐ忘れがちなstringの種類と変換や、xpiの構造をコンパクトにまとめてくれているのが嬉しい。このへんは毎回調べ直してたからなあ。
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August 26th, 2007
ドリームワークスのファミリー向け映画、『夢駆ける馬ドリーマー』を。ダコタ・ファニング主演という点が最大のセールスポイントな、競走馬育成物語。ドリームワークス・ブランドも大作ばかりではなく、こういう中堅どころの作品も結構リリースしているようだ。
さすがはドリームワークス、キャストはいいところ揃いで、作品全体のクオリティも高い。しかし、おそらくファミリー向けだからだろう、ストーリーは完璧にお約束通り。良く言えば安心して観ていられるが、悪く言えば何の毒もサプライズも無い。僕も、ダコタ・ファニングやデイヴィッド・モース、それにカート・ラッセルが出ていなければ、きっと観なかっただろう
ただ、馬の種付け料が二十万ドルとか、レースに出るために登録料等々で十万ドル以上必要といった、競馬界の金銭感覚がうかがえる部分はちょっと興味深い。予定調和的なストーリー展開とは言え、ラストのレースも十分に盛り上がるシーンだった。まあ普通に良くできた中堅どころの映画と言っていいと思う。
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August 21st, 2007
ついに破裂したサブプライム問題により、プチ恐慌の様相を呈した米+その関連経済。株の下げ具合にも目を見張るものがあるが、ドル円の為替が短期間で10円動いたのもなかなか凄まじい。この状況だとFXで飛ぶ人が続出するだろうなあ、と思っていたら案の定、そういう人々がいるようで。
これらは欲張って10倍や20倍といったレバレッジをかけた結果だろうから、同情する理由は無いのだけど。「株で失敗した人」に比べて「FXで失敗した人」の実例があまり知られていなかったのも事実。正しいリスク認識のためにも、こうした例は広く知られるべきだと思う。
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August 20th, 2007
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August 14th, 2007
SunのStarSuiteが、Googleパック経由で無償に。OpenOfficeをベースにSunが機能追加した製品で、買えば数千円するもの。
Google Docs & Spreadsheetsとの連携プラグインも(そのうち)提供されるとのことで、これはなかなか使えるのでは? と思ったが、利用規約の初めの方に、こんな一文が。
個人での使用、非商業的な使用のみを目的としています。
仕事で使えないオフィスソフトというのは、ちょっと微妙ではないだろうか。
OpenOfficeそのものの完成度はかなり上がってきているようだが、やはり本家との細かな操作感や見た目の違いもあって(あとブランド力と参考資料の少なさ)、一般層があえて乗り換えるには障壁が高いのも事実だろう。いっそ、ここまで開き直ってインタフェースを似せるのも手だと思うんだけど。Microsoft Office 2003→2007で大幅にインタフェースが変更され、しかもそれが不評を買っているので、OpenOffice系のソフトが2003互換を徹底すれば、そこに付けいる隙ができるかも知れない。
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August 8th, 2007
麻薬組織を敵に回して殺されたアイランドのジャーナリスト、ヴェロニカ・ゲリン。その伝記映画『ヴェロニカ・ゲリン』が何年か前にあったのだけど、地味な上に暗い作品で、それ自体はあまり印象に残るものではなかった。しかし、そこで使われていたサウンドトラックが非常に美しく、本編の内容よりもむしろ「サントラが良い映画」として記憶に残っていた(本編はまあ、割と良い佳作だったような気がする)。
主題曲を歌うシニード・オコナーの1曲目、15曲目が良いのは当然として、少年の一見拙そうなアカペラから展開する11曲目、”Bad News”も一聴の価値あり。歌以外も静かで綺麗系のアイルランド的楽曲で統一されており、普通にヒーリングCDとしても聴けるアルバムだと思う。リアル店舗ではそうそう置いてなさそうだが、とりあえず米アマゾンで視聴できるようだ。
Veronica Guerin (Original Soundtrack)
Harry Gregson-Williams (作曲)
Harry / Horn, Trevor / Marsh, Hugh / Ca Gregson-Williams (作曲)
Harry / Marsh, Hugh / Cassidy, Patrick Gregson-Williams (作曲)
Kim Carroll (Guitar)
Peter Distefano (Guitar)
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August 7th, 2007
何度聞いてもEnigmaっぽく聞こえるアンビエント・サウンド、Achilleaの最新作、”Amadas Estrellas”。ジャケットを隠せば「Enigmaの新譜だよ」と騙せそうなくらいEnigma的だが、それもそのはず、少し前まで実際にEnigmaを手がけていたJens Gadの作品なので。低いビートとグレゴリオ聖歌風のコーラスをバックに言語不明(スペイン語)な女性ボーカルが乗ったりする、この分野の愛好家には分かりやすいサウンド。目の醒めるほど傑出した曲はないものの、アルバム全体の完成度は高い。一番盛り上がるタイトル曲の”Amadas Estrellas”か、6曲目の”Alas del Aguila”あたりがなかなか良いと思う。
Amadas Estrellas
Achillea (アーティスト)
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August 6th, 2007
ヤングアダルト文学の名手、ロバート・コーミア。日本ではあまり有名ではないかも知れないが、一作一作の完成度が非常に高く、簡潔な文体で微妙な心理を描き、ついでにラストの衝撃度が半端でない作品揃いで、僕が個人的に最も好きな作家の一人だ。『チョコレート戦争』、”I Am the cheese”あたりはタイトルのポップさとは裏腹に、本当に恐るべき作品であり、万人が読むべき小説だと思う。
『心やさしく』も、家出少女がサイコパスの少年シリアルキラーに憧れて会いに行く、という何とも “Tenderness”っぽくないストーリーだ。少年の余罪を確信してつけ狙う老警官も絡んで、コーミアのあの流れるような筆致で話は展開し、やはり恐るべき結末に到達する。淡々とし過ぎている感も無くはないが、この奇妙な読後感はやはりロバート・コーミアならではのもの。やはりこの人の作品は面白い。
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July 31st, 2007
個人的に韓国映画は肌には合わないと思っていたので、正直この韓国産モンスター映画も期待せずに観たのだけど。これがなかなかどうして、意外なくらい面白かった。設定に微妙なところや途中の中だるみ感も無いわけではないが、それを差し引いても凡百なB級モンスター映画とは一線を画した良さがあると思う。CGによるモンスターの映像も非常に良くできていて、それが真っ昼間の河川敷を暴れ回る絵面だけでも観る価値はある。これは思わぬ拾いものだった。
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