July 2nd, 2008
ある朝、歩いて出勤するとき、わたしは危うく赤ん坊に殺されそうになった。その運命の瞬間、わたしはバス停留所の屋根の下を通っていたおかげで生き延び、その話をすることができる。
こんな書き出しから始まる、ジャック・ウォマックの小説『ヒーザーン』。ギブスンからさらにカルトかつマニアックな方向に突き進んだようなSF作家で、この小説はウォマックの六部作の第三作にあたるようだが、とりあえず単独でも読めるらしいので読んでみた。
正直言って、何度途中で投げだそうとしたか分からない。たかだか文庫本300ページちょっとの小説で、これほど時間がかかったのは久しぶりだった。とにかく至るところが読みにくく、台詞一つとっても譫妄患者のうわごとのように意味が取りにくい(近未来が舞台ということで、原文でも独自の省略語が使われているそうで、それを無理に日本語訳にしたためなのだろうか)。基本的に数人の中心人物のやり取りがメインの地味な話だけに、会話文が分かりにくいのはかなり厳しい。話自体もかなり難解で地味な、SFの名を借りた人間劇のようなものなので、万人どころかストレートなSFファンにもお勧めはできない。
だが、徹底して読みにくい反面、独特のスタイルを貫いているとも言える。近未来の独占企業による陰鬱な超格差社会や、その頂点に君臨する夫妻のどうしようもない人間性など、目を見張る部分も多い。文学系SFのカルト作品が読みたいという人には向いているかもしれない。
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June 29th, 2008
ブリザードの新作は、噂に違わず “Diablo III” に。
『ダンジョン・シージ』シリーズとかの亜流もまあ悪くはなかったが、本家はやっぱり『ディアブロ』だろう。見下ろしビューも健在で、正統進化した続編になりそう。発売日は全く未定。何かと延期の多いブリザード社だが、2009年中ぐらいには出してほしいところ。
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June 11th, 2008
英国ホラー界の偉大な作家、ラムゼイ・キャンベル(あるいはラムジー・キャンベル)の、長編の数少ない翻訳本の一つ、『無名恐怖』。この人の短編小説はよくホラー系アンソロジーに収録されており、その一つ一つが本当に素晴らしいので、その方面の読者なら誰でも知っているくらい有名なのだが。長編はどうにもヒットに恵まれず、邦訳された作品も極めて少ない。この『無名恐怖』も、映画化されていなかったらおそらく未訳のままだっただろう。まあ、作風的に一般向けとは言いがたく、あくまでカルト作家的なので、仕方ないと言えば仕方がない。
カルト教団に娘をさらわれた母親の、パラノイアと、破壊された家族の物語。キャンベルのルーツであるクトゥルー神話の影も色濃く、名前を持たないカルト信者と、正体不明の「何か」が醸す不気味さ/不条理さは流石の一言。直接的な描写は乏しく、地味としか言いようにない面があるものの、全篇を通じての皮膚を蟻が這うような感触はキャンベルならでは。ただ、ラストの展開はちょっと納得しかねる部分がある。あと、もう少し短く、短編くらいの方が良かったような。
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June 2nd, 2008
世界最大のビール祭とされる、ドイツはミュンヘンのオクトーバー・フェスト。その裏では、真のビール飲みたちが集まり競う秘密のビール祭、ビール・フェスタが極秘裏に開催されていた。そうとは知らずに迷い込んだ主人公のアメリカ人たちは、ドイツ人選手たちから散々に侮辱されて追い返される。来年のビール・フェスタで見返すべく、五人のチームを結成し、ビール飲みの厳しい特訓を重ねる主人公たち。挫折や過去のトラウマ、ドイツからの刺客、仲間の死を乗り越え、彼らは再びビール・フェスタの舞台に立つ。
という、久々にB級低俗コメディを。全く期待せずに見始めたら、意外にも、下品、下劣、下等と三拍子揃った上質なコメディ映画だった。挫折→チームの結成→立ちはだかる困難→チームの成長→最終決戦と、王道展開をきっちり押さえており、バカバカしい設定ととんでもない種目(例:2リットルくらいありそうなブーツ型ジョッキに入ったビールを早く飲み干した方が勝ち。一気飲みがデフォルト)さえ除けば、普通にスポーツ映画として通用しそうな内容だ。
全体的によくできた良作ではあるものの、このスポーツ・コメディというジャンルには『ベースケットボール』『ドッジボール』といった金字塔が立ちはだかっているため、ベストとは言いがたい(特に「無駄に予算をかけている」感が無いのは、このジャンルにとっては致命的だ)。だが、もしビール飲みコメディというジャンルが存在すれば、この映画は間違いなく世界一と言えるだろう。なお、ギャグの方向性は、ファレリー兄弟あたりがOKな人なら全く問題無いあたりのライン。
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April 20th, 2008
Hewlett-Packard がつい先日始めた、年59ドルで容量無制限のオンラインストレージ、HP Upline。値段の安さと、HP だからという理由で (HP ならそう潰れることはないはず)、個人的にバックアップ用として本気で検討していたのだけど。どうやら、TechCrunch に載るほど深刻な状態に陥っているようだ。
それだけではなく、こんな情報も。
米国在住者限定だって? Upline のサイト内は結構見ていたけど、そんなの全然気づかなかった。TechCrunch のコメント欄ではカナダやイタリアのユーザーが文句を言ってるし、日本でも有力登録した記事が出ている。US オンリーのサービスは山ほどあるけど、大体わかりやすいところにその旨が書いてあるものだ。しかし、Upline に関して少なくとも僕はその記述を見つけられなかったし、アメリカ国外ユーザーが散見されるところを考えると、ユーザーが想定以上に増えすぎてダウンしたので、US 以外のユーザーを後付けの制限で切り捨てようとしている、と邪推したくなるところだ。
いずれにせよ、日本から使えないと言うなら使わないまでだ。他のサービスを検討しよう。
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April 18th, 2008
色々なウェブサービスで使われ始めている反動で、落ちると色々なところから悲鳴が上がるようになった Amazon Web Services。今までは障害が発生すると、フォーラムに行ってユーザー同士で「俺のインスタンスに接続できない!」「俺も俺も!」「誰か何とかしてくれ!」と叫びつつ、Amazon の中の人が降臨して状況を説明してくれるまで F5 キーを連打するのが AWS ユーザーのたしなみだった。AWS ではあらゆるサポートと情報の告知がフォーラム上で (ほとんどは他のユーザーによって) 行われ、そこに足しげく通わない限り、ほとんど何のサポートも情報も手に入らない。正直言って、コンシューマー向けならともかく、エンタープライズ向けのプラットフォームとしては全く不完全なサポート状況だと思っていた。
だが、そうしたサポート面の改善もようやく始まったようだ。
サービス状況が一覧できるページの設置。そして有償のシルバー、ゴールドサポート (ついに電話サポートが!) が始まるようだ。こうしたサポートを今までやってなかったことの方が驚きな気もするが、何にせよ大きな前進だと思う。地味だけど Elastic IP や Availability Zone にも匹敵する進歩だろう。
さて、次のマイルストーンは EC2 用の容量可変な Persistent Storage の一般リリースかな。
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April 11th, 2008
ついに配信が始まった Xbox360 版『斑鳩』。遅ればせながら購入してプレイしてみた。
グラフィック、サウンドともに文句無く素晴らしい。特にグラフィックは今の水準で見ても全く見劣りしないレベルで、もはや移植と言うよりリメイクに近いと思う。『斑鳩』は友人宅で Dreamcast 版を一、二度プレイしただけなので、再現度の方は不明だし気にもしていないが、ゲーム性や操作性も見事の一言。
そして待望のオンライン・リプレイ機能付き。トップランカーの芸術的なプレイが手軽に見られるのは、アイマスのリプレイ機能にも匹敵するキラーフィーチャーだ。ニコニコ動画にもさっそくアップされている。これで少しでも弾幕ゲーマーや Xbox ユーザーが増えるといいんだけど。
まずは数回プレイしてみたところ、得点を狙わず、EASY モードでコンティニュー、残機を使い切るプレイで、三回目にしてやっとクリア。いやあ、本当に難しい。まずは EASY でワンコイン・クリアできるようにならなければ。
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April 8th, 2008
Google がついに Web アプリのホスティングにまで手を伸ばしてきた。BigTable が来るぞ、とは噂では聞いていたけど、アプリケーションやストレージまで一気に出してくるとは (確かに BigTable だけではいまいち使い道がないが) 。Amazon EC2+S3+SimpleDB とは真っ向勝負になる形で、他のホスティング業者も戦々恐々としていることだろう。
Amazon のと違って、Google が用意した環境にきっちり沿う必要があるようだが、Amazon は Amazon で重い S3 と付き合ったり、SimpleDB の使えなさを嘆いたり、仮想マシンを動的に制御するといった特殊技能が求められるわけで、ものによっては Google の環境に従った方がずっと簡単になる可能性は高いだろう。Python 限定なのはちょっとどうかと思うけど。
ベータ期間中はストレージも CPU 時間も転送量も上限で切られるものの、その範囲では無料。ベータ後は上限を超える分について課金されるとか。パフォーマンスや安定性や値段も気になるところだけど、とりあえず Python は勉強しておいたほうがいいかも知れない。
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April 8th, 2008
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March 31st, 2008
前回に続き、”SHUUBI flower voice after party 2008″ へ。一年間続いた SHUUBI の flower voice 当番も終わり、そのアフターの特別公演的なライブ。SHUUBI の flower voice もこれで最後だし、と油断していたら、「2008年度も SHUUBI の flower voice 当番続投!」とのことで。あの最終回的な前回はなんだったんだろう、と思いつつも、せっかくなので行ってみた。
今回はいきなり『うららかな』から。新旧の曲を織り交ぜつつ、いつものメンバー紹介曲『京都20XX』(もうネタ化しつつある)や、新たな楽器にも挑戦(そして失敗)してみたり、サプライズ(SHUUBIにとって)もあったりとで、いつも以上にあっという間に過ぎた二時間半だった。バンドの人たちともども、本当に楽しそうに歌ったり演奏したりしているのが素晴らしいと思う。
今回の影の主役、アンデス。一見して鍵盤ハーモニカのようだが、出てくる音は気の抜けた笛のようで意表を突かれた。どこかで聞いたことがあるような、と思ってあとで調べたら、栗コーダーカルテットで使っている楽器だそうで。あの音、てっきりリコーダーだと思っていた。
また、今回のライブとほぼ時を同じくして、MySpace に SHUUBI のページが登場。日本のアーティストも普通に SNS に登録する時代になったんだなあ。
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