[本] ブリジット・オベール『マーチ博士の四人の息子』

 マーチ博士とその四つ子の息子の館に住み込みで働いているジニーは、ある日、館の中で「殺人」日記を発見する。日記の盗み読みを続けるジニーに対して、日記の書き手は殺人の予告を記し、その通りに殺人が起こってしまう。ジニーは自らも手記を綴り、ある時は殺人者の日記に書き込み、ある時はテープレコーダーを用いて、殺人者の正体をつきとめようと孤軍奮闘する。自らをマーチ博士の息子の一人と称する犯人。しかし、ジニーは誰が犯人かは分からないまま、日記とレコーダーを通じての奇妙なコミュニケーションを続ける。第二、第三の殺人が起こり、やがてジニーにもその矛先が向けられて──。

マーチ博士の四人の息子
ブリジット オベール Brigitte Aubert 堀 茂樹

マーチ博士の四人の息子
早川書房 1997-02
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おすすめ平均 star
star騙しの傑作
star星3.5をつけたい。
star子供の時に感じた目に見えない恐怖

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 と、一見すると「四人のうち誰が犯人?」という謎解きミステリーっぽいプロットだけど。正答につながるヒントがまるでないまま進行し、最後に意外過ぎる犯人でひっくり返されるので、真面目に犯人を推理しながら読むとバカを見る。ちなみに「四人全員が共犯だろう」と予想していた僕は、映画版『サイコ2』のラストと同じくらいの衝撃(あるいは脱力感)を受けた。全体的にやや中だるみ感があるのと、あんまり頭脳戦になってないあたりが残念だが、ジニーの憎めない性格と最後の鮮やかかつ泥臭い反撃は良かった。(★★★)
 これがブリジット・オベールのデビュー作。他には『ジャクソンヴィルの闇』を読んだけど、あっちは素敵なくらい容赦の無いゾンビ系パニックホラーの良作だった。ちょっと他の作品もチェックしてみたい。


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