[本] 『知られざる通信戦争の真実』
かつて、過激な値段設定と強引な促販方法とでADSLを普及させ、通信業界を揺り動かしたソフトバンク。色々と問題はあったけれど、ソフトバンクが日本のブロードバンド事業者に熾烈な競争を生み出し、結果的に低価格化と普及を早めたことは間違いない。他の通信会社にとっては本当にいい迷惑だったろうけれども。
『知られざる通信戦争の真実』は、そんなソフトバンクのADSL参入による混乱や、IP電話がもたらした旧電話ビジネスへのダメージ等をつづった、ちょっと(と言うかかなり)古めの通信業界本だ。ブックオフ100円棚より購入。
知られざる通信戦争の真実―NTT、ソフトバンクの暗闘
日経コミュニケーション編集
日経BP社 2003-12-12
売り上げランキング : 200426
おすすめ平均
早速、古くなりつつある
2001年からの通信業界の構造変化をコンパクトに抑えた一冊。
業界変化に身を委ねている私たち
ほとんど全て「終わった」話なので、新しい知見は何も無く、クロスウェイブや平成電電といった懐かしい名前が出てくるのと、NTTグループ内での喧嘩話がちょっと面白いくらい。内容的にはややソフトバンク寄りで、既得権益と高い参入障壁とで守られていたNTTに、ソフトバンクが自由化競争を仕掛ける、というトーンのもの。「予想外」に伸びていないソフトバンク携帯の現状を眺めつつ、「あの頃のソフトバンクの方がまだ勢いがあったよなあ」と懐かしむ分には良い本かもしれない。(★★★)