P・ヴェプファ他『機長の決断』
今は亡きスイス航空(ルフトハンザに吸収された)のパイロット、ヴェプファ氏が綴る「パイロットのお仕事とは?」という内容の本、『機長の決断』を。
いまどきの飛行機ってオートパイロットだけで離発着まで出来るんじゃないの? と素人的には思いがちだが、この本ではいかにそんな考えが甘いか、どれだけの作業が離着陸の裏で行われているか、あるいはなぜ搭乗から離陸まであんな絶望的に待たされるのか、といったことが事細かに描かれている。まあ、15年以上古い本なので今はどうだか分からないけど、少なくとも搭乗から離陸まで死ぬほど待たされる点は今も変わらないようだ。
この本の著者は相当に几帳面らしく、パイロットやその周辺の職務内容をかなり細かいところまで描いていると思う。その几帳面さが高じて、ことあるごとに事故事例を引っ張り出して「何年何日にボーイング707が高度設定の間違いで山に激突した」とか「インドで着陸空港を間違えて大破した事故があった」とか紹介していたりする。パイロット志望者ならともかく、一利用者という立場で読んでいると、飛行機というものにささやかな不安を感じなくもない。(★★★)
これとは全く関係ないけど、今からちょっと成田-サンフランシスコ便に乗ってきます。