[本] フレッド・ハプグッド『マサチューセッツ工科大学』
日本でもMITの略称で知られるマサチューセッツ工科大学の、歴史とその校舎、ナードの生態を示すエピソード、幾つかの研究の概要について描いた、ノンフィクションの小品。後半の技術研究話は、本自体が古いこともあってそれほど興味は惹かれないが、自動楽譜めくり機という古典的な(しかし恐ろしく難しい)問題の魅力と泥沼にはまったエンジニアを描いた第一章、MITの学生たちの奇矯なユーモア(「MITでなにかを学ぶとしたら、それは自殺の方法だ」)の第二章、MITがエンジニアリングから出発していかにサイエンスを取り込んでいったかの第五章はなかなか興味深い。MITの歴史や、エンジニアという生物の生態を少しだけ垣間見るには手頃な本だと思う。