[本] ジェフリー・ロビンソン『ザ・ホテル』
そしてザ・ホテルにおける四十年あまりの生活ではじめて、ウィングローヴは顧客から実際に「ゾウをキャンセルしてくれ」といわれたのだった。
ジェフリー・ロビンソン『ザ・ホテル』
ロンドンの超一流ホテル「クラリッジ」の裏側を描いたノンフィクション作品、『ザ・ホテル』。ちょっと変わったブルジョワジーたちの注文(例「ゾウを手配してほしいのだが」)や、コスト削減を主張するマネージャーと食材に妥協したくない料理長との確執、エリザベス女王の90分間の訪問に17万ポンド費やして準備したエピソード等々。僕にとって全く異世界ではあるけど、どんな業界であれ最上位クラス(または最底辺)の話はとても興味深いものだ。この本は、ホテル業界の暗部みたいなブラックさには欠けるものの、個性的な宿泊客やプロ意識あふれる従業員をユーモラスに描いたエピソードの数々は、十分に面白い。