Archive for January, 2007


[映画] 『2001人の狂宴』

Saturday, January 27th, 2007

 ホラー映画ファンなら誰もが知ってる(ホラー映画ファン以外は誰も知らない)スプラッタ映画界の巨匠、ハーシェル・ゴードン・ルイス。1960年代に誰よりも早くスプラッタ映画を手がけ、70年代のフーパーやクレイヴンらが起こしたブームにも大きな影響を与えたルイスの作品は、今なおその歴史的価値を高く評価されている(あくまで歴史的な価値のみ)。
 そのルイスの作品でも、比較的に良作とされる『2000人の狂人』、原題は “2000 Maniacs”。100年前に北軍によって滅ぼされたアメリカ南部の村人が、北部の人間憎さに亡霊となって、村を通りかかった現代の若者たちを虐殺する、という思いつきだけで作ったルイス初期のスプラッタ作品だ。
 『2000人の狂人』に、ストーリーや演出、演技の面で観るべき部分は全く無く(強いて挙げれば、30人くらいしか出てこないのに「人口2000人」という看板一つで「2000人も狂人がいるんだ」と思わせるあたり)、総合的に見てつまらない映画であることは否めない。ただ、ルイス監督のスプラッタにかける情熱は素晴らしく、犠牲者となる男女を手足をそれぞれ四頭の馬につないで引きちぎって殺したり(南部っぽい)、釘を内側に打ち込んだ樽に詰めて丘から転がして殺したり(南部っぽい?)、創意工夫をこらして観客を楽しませようとしていて、それなりに記憶に残る作品ではあった。
 それにしても今思えば、若い男女のグループ(大体七、八人)が殺人鬼のいるテリトリーに迷い込む→一人ずつ色んな方法で殺される→主人公の一人または二人が何とか生き延びる(またはラストで死ぬ)という現代ホラー映画のテンプレートは、既にこの頃には完成していたわけで、やはりルイス監督は凄かったんだと言うべきだろう。作品全体の出来はともかくとして。
 そんな『2000人の狂人』のファン待望のリメイクが、今頃になって登場。題名も新たに、”2001 Maniacs”、邦題は『2001人の狂宴』(一人増えてる!)。21世紀にもなって新しい『2000人の狂人』が出てくるとは思ってなかったが、一応ホラー映画ファンの端くれの身としては、見過ごすこともできまい。主演はロバート・イングランド(フレディの中の人)だし。

2001人の狂宴
ティム・サリヴァン クリス・コービン ロバート・イングランド

2001人の狂宴
ジェネオン エンタテインメント 2006-07-07
売り上げランキング : 18197

 結論から言えば、割と普通のスプラッタ映画だった。演技も演出も普通にできてるし、スプラッタシーンもそこそこ良くできている。馬に手足をつないで引っ張るくだりもちゃんとある(釘つき樽は無かった気がするなあ)。だが、普通にそこそこできているせいで、逆に原作が持つろくでもなさ、ぐだぐだ感と言った個性が欠落しており、そのせいか、このリメイク版は普通のホラー映画以上のインパクトが無い。僕が『2000人の狂人』を観たときに抱いた嫌悪感は、こんなものじゃなかった。あの旧作では、村人たちが特に演技をするでもなく適当にスプラッタ場面に登場しており、そのとってつけた感が逆に狂人っぽくて良かった。一方この『2001人の狂宴』では、台本通りまともに演じるエキストラを使って、何の違和感も無く観れる出来になってしまっている。それに、脚本には何と主人公VSロバート・イングランドというクライマックスさえ用意されている! こんなストーリーの盛り上がりなど、本物のルイス作品ではまずあり得ないことだ。これだけ観れば、一般人にも無理なく勧められる良心的な出来映えのスプラッタ映画なのだけど、それ故に元の怪作ぶりには遠く及ばないのが残念。(★★★)
 それにしても、スプラッタ映画というジャンルは、ピーター・ジャクスンの『ブレインデッド』がとどめを刺してしまったように思う。あれ以降、進歩がまるで見られない気がするけど、果たしてスプラッタ映画に新たなブレイクスルーは現れるのだろうか。

[メモ] PS3, Cell。

Thursday, January 18th, 2007

 発売直後のブーム(主に転売層)はどこへやら、今やどこに行っても「在庫余ってます」状態のPS3。Xbox360にはソフトの開発環境、ハードのトータルバランスとグラフィック性能、ゲームのラインナップ、オンラインサービス、発売時期と販売価格で後れを取り、Wiiに対しては目新しさとライトユーザーへの訴求力、ブランド力、ソフトの開発環境、ゲームのラインナップ、後方互換性、ハードのコンパクトさと販売価格で負けているという、かなり厳しい状況だ。初代R-TYPEで例えれば、七面後半で被弾して復活できずに苦しんでいるあたりだろうか。ここから復活できれば文句なく凄いのだけれど。

MITのマルチコアプログラミングの授業
 PS3名物、Cellプロセッサを用いたMITのMulticore Programming講義の資料。Concurrent Programmingの基礎から説明されており、かなり分かりやすそう。Cell自体もまあ面白そうだし、一部の用途には恐ろしく速そうだが、SPUのLocal Storeの容量が256KBしかないのは痛い。コードとデータ合わせて256KBに収まる処理を複数のSPUに割り振って最適化、何てことを趣味や洒落でならともかく、仕事として強要されているゲームプログラマには心から同情する。
http://cag.csail.mit.edu/ps3/

PS3 Linux Information Site
 デスクトップ機としてもサーバーとしても明らかに向いてなさそうなPS3でLinux、という好事家向けの情報サイト。GPUが扱えないらしいのはちょっと残念。非対称型マルチプロセッサのプログラミングができるオモチャとして以外の有用な使い道は無さそうだけど、PS3(60G)が2万代で投げ売りされるようになったら試してみたい。
http://cell.fixstars.com/ps3linux/index.php/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8

PS3の日本出荷台数が100万台達成!
 生産出荷台数100万台を達成、ただしソースはソニー。はてなによれば、「生産出荷台数」とは、

生産拠点から出荷した台数を指す。
販売店に出荷された台数ではないので注意。
主に農家とソニーが使う。

とのこと。まあ本体の台数を生産出荷量で発表するのはいつものことだけど、今回はソフトも併せて発表。

PS3用ソフトに関しては、2006年12月末の時点で、累計生産出荷数量が日米合計500万本を突破。

そんなにどこに売る気だろう。欧州?

PS3のソフトがTOP20に入ったら喋れるスレ
 それだと誰も喋れない。

[ネタ] 『ハケンの品格』

Wednesday, January 10th, 2007

 普段、テレビドラマなんて全く観もしなければチェックもしない僕だけれど、久々に興味惹かれるテレビドラマを。

http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/894786.html

 ここまで下品な内容だと、逆に観てみたくならないわけでもない。本編にはビタ一文興味無いが、どんな企業がどんなCMを流すのかにはちょっと興味がある。あ、あと主人公が持つという26種の資格の内訳。
 本編も、こんな感じなら普通に観てみたいと思うのに。まあこのメンヘルチックな設定と公式サイトの派遣会社広告を見る限り、これと正反対の内容になるんだろなあ。

385 名前:妊娠6ヶ月のGKです[] 投稿日:2007/01/08(月) 21:42:22 ID:KiRH+/Vm0
第1話 「割り箸を袋に詰めるんだ」
第2話 「利用禁止の社員食堂」
第3話 「交通費はおまいらが負担」
第4話 「風邪マスクと私服でアスベスト処理」
第5話 「現場への移動と待機、計5時間は無給だから」
第6話 「派遣スパイラル」
第7話 「ボーナスって何!?」
第8話  「新入社員のガキにこき使われた!」
第9話 「え、軽作業って引越し?しかも他県まで行かされるの?」
第10話  「派遣の価値、私の価値」
第11話  「正社員への道」
最終話 「もう延々と弁当の真ん中に梅干を置きたくない」

[映画] 『四日間の奇蹟』

Monday, January 8th, 2007

 若手ピアニストだった主人公は、留学先で事件に巻き込まれた少女をかばって左手の薬指を失ってしまう。ピアニストの道を断念した彼は、両親を失ったそのときの少女を引き取るが、やがて彼女のサヴァン症候群によるピアノの才能を見出し、彼女と各地を演奏して回ることに。そこでとある療養所に訪れた二人は、主人公の高校の後輩に再会するが、落雷事故によりその後輩は重傷を負い、しかも少女と心が入れ替わってしまう。致命傷を負ったもとの体に残された時間は四日間。後輩は人生を見つめ直し、最期に主人公のピアノがもう一度聴きたいと告げ、主人公は少女の体を借りてついにもう一度ピアノを弾く。ベートーベンの『月光』第一楽章を。

四日間の奇蹟
佐々部清 砂本量 吉岡秀隆

四日間の奇蹟
東映 2005-11-21
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おすすめ平均 star
star少し物足りないかな
star奇蹟が物語に必要だったと思えない
star映像ならではの演出

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 と言うメルヘンな感動系の邦画ではあるものの。これを観た全国のピアノ経験者は、こう思ったはずだ。「『月光』第一楽章って左手の薬指いらなくね?」 そんな、内容的にはまあ普通だが、要所を飾るピアノの選曲がちょっと微妙な作品。(★★)

[ゲーム] Xbox360『地球防衛軍3』

Saturday, January 6th, 2007

[ゲーム] Xbox360『地球防衛軍3』

 日本ではぶっちぎりで売れてない次世代据置ゲーム機、Xbox360。一般人からはどうやら3DOかピピン@の親戚ぐらいにしか思われていないXbox360だが、コアゲーマーの間では静かなムーブメントが起こりつつある。確かに、Wiiはソフトのほとんどが健全に過ぎる(『ネクロネシア』とか)し、PS3はソフトそのものがほぼ存在しない。そうなれば消去法的に、『ロストプラネット』『ギア・オブ・ウォー』『アイドルマスター』等の尖ったゲームが揃うXbox360に目が向くのは、必然と言えよう。惜しむらくは、そうしたコアゲーマーの絶対数がWii+DSを好む一般層よりも遙かに少ないという点だ。たぶん100:1くらい。
 そんなXbox360にOnlyOnな、D3パブリッシャーの『地球防衛軍3』。PS2のSIMPLEシリーズの中では結構売れた『The 地球防衛軍』シリーズ最新作。スピルバーグの『宇宙戦争』も裸足で逃げだすくらいの強大凶悪な侵略者が、夥しい数の巨大生物とともに地球に攻めてきて、世界全土を破壊し尽くすというゲーム。3と銘打ってはいるものの実際はリメイクで、敵デザインはUFO然とした円盤からメカメカしい機械兵器に一新。ストーリーもリセットされて、初めて宇宙人が攻めてきたという設定に戻っている。
 グラフィックはさすが次世代機といったところで、膨大な数の巨大生物や巨大兵器がハイビジョン画質で処理落ち無く蠢く様は、見ていてとても気持ちが良い。前作までは通信ボイスだけで影も形も無かった味方隊員も今作ではしっかり登場し、『E・D・F! E・D・F!』と叫びながらあっさりと散っていくその様は、いかにも暑苦しくて陸戦部隊的だ。その他、武器や敵の強さもきっちりと修正されており(2の大蜘蛛は酷かった)、プレイのしやすさ・爽快度は確実に上がっている。
 一方で、2で追加されたペイルウイングが登場しなかったり、敵の種類も2より少なかったりと、全体的に2よりもボリュームダウンしてしまっている。設定的にペイルウイングが登場しないのは仕方ないにしても、その分エピソードや敵の種類にバリエーションを持たせて欲しかった。『THE地球防衛軍2』は2100円という価格であったからこそ一種の神ゲーだったのに、今作はフルプライスなのにボリュームダウンとは、ちょっと残念だ。だがそれでも十分に良作なので、次回の侵略者の更なる逆襲に期待。(★★★★)

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