Archive for October, 2006


Marty Neumeier, “Brand Gap”

Thursday, October 26th, 2006

 コカ・コーラ社の半分以上はブランドでできている。そのブランドの価値はおよそ700億ドル、約8兆円とか。普段、我々が空気のように接している「ブランド」というものには、なかなか侮れない価値があるようだ。
 そんな、一般人には何だかよく分からないけれど、企業にとってはコンサルを雇ってでも世間に浸透させたい「ブランド」について語った本、”Brand Gap”を。

Brand Gap

 「ブランドとは何か?」から始まり、いかに企業がブランドを構築すべきかを、Differentiate、Collaborate、Innovate、Validate、Cultivateの五章に分けてざっくり説明。各項目は大体こんな感じ。

Differentiate: 差別化しろ。一番か二番を目指せ。さもなくばスコープを変えろ。顧客へのメッセージは、”what it is”から、”what it does”, “how you’ll feel”, “who you are”へと進化させろ。

Collaborate: 右脳屋と左脳屋を一緒に働かせろ。ハリウッドやシリコンバレー的な、プロジェクト単位で人を集める方法が良い(ブランドとは直接関係ないような)。あとプロトタイプは役に立つ。

Innovate: 革新こそビジネスの原動力。みんなと違う発想をしよう(うん。まあそうだろう。で、具体的にどうやって?)。いい名前をつけよう。動かないロゴはもう古い。これからは動くロゴだ。ウェブサイトはシンプルで簡単に使えるように。

Validate: 顧客からのフィードバックを手に入れろ。ロゴのデザインとかを色々入れ替えてみて、印象を確かめろ。定量的調査よりも定性的調査を。大規模に調査してもあんまり効果は上がらない。

Cultivate: 組織もブランドも生きている。みんなでブランドを育てていけ。大きくなってくるとトラブル時のダメージも大きくなるので気をつけろ。ブランドにはとても高度なマネージメントが必要なので、そのうちCBO (Chief Brand Officer) という役職が普及するだろう。

とまあ、マーケティング屋らしい与太話で締めくくられる。一般人向けらしく、ほとんど根拠も議論も無く突き進むが、とりあえずブランドについて分かったような気にさせてくれる本。読み物として読んでみる価値はあると思う。専門家にとっては何の役に立たないだろうけど。(★★★)

“Lucky Number Slevin”

Wednesday, October 18th, 2006

 機内で見た映画四本目、『ラッキー・ナンバー7』。知人宅を訪れた主人公のスレヴィンは、その知人と間違われて街のマフィアの抗争に巻き込まれてしまう。チンピラには小突かれ、警察からは怪しまれつつも、マフィアから強要された殺しの標的のもとを訪れるが、そこにプロの殺し屋(ブルース・ウィルス)が現れて──。

http://imdb.com/title/tt0425210/

 まず特筆すべきは、序盤からスレヴィンが全裸+タオル一枚の姿で現れ、パンツを履く間も無く延々と小突き回される点だろう。主人公がどうやって窮地を切り抜けるかよりも、主人公がいつパンツを履けるのかの方が気になる映画なんて、そうそうあるものではない。かと言って、ただの巻き込まれ型コメディとしてぼんやり観ていると、終盤ざっくりとひっくり返されるので、なかなか油断ならない。傑作サスペンスというほどではないし、映画館に観に行くタイプの作品でもないけど、一風変わったクライム・サスペンスとしてそれなりの佳作ではあると思う。(★★★★)
 主演のジョシュ・ハートネットは、三枚目不幸キャラの主人公として文句無し。対立し合うマフィアのボスに、安っぽい感もあるモーガン・フリーマンと、まだまだいけてるベン・キングズレー。そして、無口でほとんど動かない/喋らない殺し屋という(いつも通りすごく楽な)役に、ブルース・ウィルス。ここまではいいのだけど、話をかき回すアーパー系ヒロイン(言うなればキャメロン・ディアスあたりが似合いそうな)役が、ルーシー・リューという点にすごく違和感あり。『チャーリーズ・エンジェル』『キル・ビル』の印象が強すぎたからかなあ。

“Nacho Libre”

Monday, October 16th, 2006

 機内で見た映画三本目、『ナチョ・リブレ』。メキシコを舞台に、神父のナチョが孤児院(の食費)のために覆面レスラーとして戦う、レスリング・コメディ映画。

http://www.nacholibre.com/

 かつてパンの耳を奪い合った仲の男(貧相)とタッグを組んだナチョは、連戦連敗するものの、パフォーマンスが受けてそれなりのファイトマネーを得る。しかし、チャンピオンとの確執や、修道院に正体がばれたこともあり、最後の試合としてチャンピオンへ挑む。
 修道院が『薔薇の名前』級に古くさかったり、レスラーが意外といい動きをしてたり(主人公コンビ以外)、あらゆる面で期待を裏切らない展開だったりして、なかなか悪くない作品。ファレリー兄弟やトレイ・パーカーみたいな毒も皆無なので、全年齢向きでもある。ただ、日本でウケることはあり得ないだろうなあ、と思うのもまた事実。ルチャドールというテーマはちょっと微妙過ぎる。(★★★)
 ちなみに、ノースウェスト航空機内でこれを観ている最中、システムがクラッシュして再起動されてしまった。再起動中はコントローラーの通常操作は効かなかったが、代わりに古いインタフェースでの操作(Chボタンの+、-とか)が使えたので、どうやら旧来の動画配信システムが下に走っていて、別途GUIインタフェース用のOSをかぶせているらしい(クラッシュしたのは多分ここの部分)。チャンネルを変えていくと一瞬だけどLinuxの起動画面(とペンギン)が見えた。ディストリまでは不明。

“The Sentinel”

Friday, October 13th, 2006

 機内で見た映画二本目、『ザ・センチネル』。大統領暗殺の濡れ衣を着せられたシークレット・サービスの主人公が、同僚たちの追跡をかわしつつ真犯人の解明に奔走する。そんな、「それなんて『逃亡者』?」というあらすじの作品。

http://movies.foxjapan.com/sentinel/index2.html

 主演はマイケル・ダグラス×キーファー・サザーランドと、かなり男臭い取り合わせ。ヒロインも出さなきゃとでも思ったのか、若手の女捜査官も登場するが、『評決のとき』のサンドラ・ブロック程度の活躍しかしないので、安心して観ていられる。マイケル・ダグラスが自分の浮気のせいで窮地に陥るあたりも、いつものダグラス映画の通りだ。
 見所としては、逃亡を始めたマイケル・ダグラスがシークレット・サービスの知識を活かして同僚の裏をかくあたりか(それなんて『追跡者』?)。それ以外はとりたてて良くもなく悪くもない、典型的なso-so movie。(★★★)

“X-Men: The Last Stand”

Thursday, October 12th, 2006

 飛行機内で見た映画一本目。「味方は強大、敵はわずか」を合い言葉に、ウルヴァリン他X-MENたちが圧倒的暴力で敵をねじ伏せる痛快アクションシリーズも、遂に三作目。

http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD9311/index.html

 ミュータントの治療薬を巡るマグニートーの戦いと、最強のミュータントとして覚醒したジーンの暴走。この二つの話がまるで噛み合わないまま進行し、そのまま終わるという今作。脚本ははっきり言って酷い出来だが、映像は相変わらず金がかかっているし、マグニートーが思う存分暴れてくれるので、まあよしとしよう。『X-メン』にそれ以上のものを期待するのは、期待する方が悪いというものだ。(★★★)
 ただ、サイクロプスのあの扱いはあんまりだと思います。

US出張を終えて。

Tuesday, October 3rd, 2006

 ゆりしーライブを断念しつつやって来た、一週間のカリフォルニア出張。色々あったようで実はそうでもないのだけれど、とりあえず覚えていることを。

アメリカ行きのセキュリティ・チェック

 少し前の英国テロ未遂の影響だそうで、液体およびジェル状のものはすべからく機内持ち込み不可。これには目薬などの日用品も含み、チェック自体も通常のX線の後、搭乗直前にバッグを開けて直接調べるという念の入れよう。「液体やジェルは入ってないか?」と都合五回くらい聞かれた気がする。
 ただ、このやり過ぎ気味なチェックは相当に不評だったらしく、9月25日から検査基準が改正されたとか。つまり9月24日に搭乗した僕は、よりによって最後の日に当たってしまったようだ。不評を受けて改正した新基準では、液体/ジェルはあるサイズ以下の透明なプラスチック袋に入れて別途検査に通すだけでよいとのことで、順調に不評を買っているとのこと。

カリフォルニア州ソノマ郡

 カリフォルニア州はロサンゼルスやサンフランシスコ、サンディエゴなど、数々のアメリカ屈指の大都市を有するが、僕の最終目的地はソノマ郡。ソノマ郡とは、例えばこういうところだ。

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 「え? これ本当に空港?」ってくらいの小さな建物。以前、アメリカの地方空港を舞台にしたチープなエイリアンものテレビ映画があって、「空港なのにこんなに人いないの?」と思ったものだが、まさにそんな感じ。レンタカー屋と荷物のコンベア、あとトイレぐらいしかない。隅に一応端末が置いてあったが、一日何便あるかは怖くて調べられなかった。

ガジェットの値段

 店先でアップルのiPodやソニーのiPodあたりを見てきたけど、ほぼ日本と変わらないくらいの価格帯だった。Xbox360のように日本の方が一、二割安かったりするものもあるが、差はせいぜいその程度。ユーロ圏のように日本円換算するととんでもなく高い、ということは全然なかった。ことデジタルガジェットや家電に関する限り、日本の物価はかなり安い方だと思う。
 あと、サンフランシスコ国際空港では、缶ジュースとiPod本体が並んで自販機で売ってました。

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Barnes & Noble

 本屋の超有名ブランド、バーンス&ノーブルへ。近年なぜか急速に勢力を延ばしつつある”Sudoku”だが、ここでも棚一つ+ワゴン一つを占めるほどの汚染状態だった。「ナンバープレイス」みたいな英語っぽい別名があるにも関わらず、「数独」というもはや日本でも何の省略か知ってる人の方が少ない略称が世界中で流行っているのは、ちょっと不思議だ。新聞には当然のように載ってるし、MENSAの”Sudoku”本なんてものも。
Mensa Guide to Solving Sudoku http://www.us.mensa.org/am/games/sudoku/
 ”Do you sudoku?”て、既に動詞扱いに。

 そんな感じで、特に仕事以外何もせずに帰ってきました。いやあ、本当にアメリカの地方って車が無いと何もできないものだね。