Archive for the '映画' Category


[映画][サスペンス] 『消失 — ザ・バニシング』

Sunday, August 31st, 2008

前々から観たいと思っていた映画、『消失 — ザ・バニシング』を。原題は “Spoorloos”。オランダのサスペンス映画。

ハリウッドでもリメイクされ、『失踪』という邦題でキーファー・ザザーランド、ジェフ・ブリッジス、それにサンドラ・ブロックが出演していて、少しだけ話題になった作品だ。オリジナルの方が数段面白い、でも日本では手に入らない(ビデオにもなっていなかった)と映画マニアの間で囁かれていたが、いつの間にか DVD で出ていたのか。

旅行の失踪した恋人を探し続ける主人公の前に、真実を知っていると言う男が現れる、という『失踪』でおなじみのストーリー。だが、結末が致命的に違う。ハリウッド版がいかに甘ったるく、オリジナルが、というよりヨーロッパ映画が、いかに容赦のない代物かがよく分かる。心地良いくらい後味の悪い逸品。

消失 — ザ・バニシング オリジナル版

消失 — ザ・バニシング オリジナル版

[映画] 『ラストキング・オブ・スコットランド』

Sunday, August 24th, 2008

70年代のウガンダの独裁者で、国民30万人を虐殺したというアミン大統領を描いた映画、『ラストキング・オブ・スコットランド』。2006年制作。史実を元にした半フィクション的な原作の映画版らしい。

正直、アミン大統領と聞いても『食人大統領アミン』しか思い浮かばないし、何で今さらこんな人の映画を作ったんだ、と思わないでもなかったが。意外なくらい良い出来で、普通に見入ってしまった。

アミン大統領の主治医として取り込まれたスコットランド人医師の目線で、という設定で話は展開する。シーンのほとんどがその医師とアミンとの関係の描写で、ジェノサイドを視覚的に見せるのは極力避けている(とは言え、残虐シーンは一部で効果的に使われている)。このあたりの脚本がうまいのか、あるいは主演二人の演技力のおかげか、単なるゴシップ映画ではなく、一級の実録系フィクション娯楽作品になっているように思う。

特にアミン大統領の役者の、陽気で幼稚でパラノイアな演技は真に迫るものがある。と言うか、本物に似すぎじゃない?

ラストキング・オブ・スコットランド

ラストキング・オブ・スコットランド

[動画][ホラー] “Chainsaw Maid”

Saturday, August 23rd, 2008

海外サイトの jwz 経由で知った、ていえぬ氏の動画、”Chainsaw Maid” が凄い
(微グロだが、『ブレインデッド』かルチオ・フルチ映画を知ってる人なら笑って観れる程度)。

七分未満の短編ながら、スプラッタ映画に必要な要素は全て詰まっている。その残虐描写も極めて真剣に作り込まれており、素晴らしい出来映え。こんな作家が日本にいたとは。

他の作品も一見の価値あり。撮影風景も面白い。

[映画] 『ダークナイト』が IMDb のランキングトップに!

Saturday, August 9th, 2008

何気なく IMDb を見に行ったら、『ダークナイト』がTop250の#1に!

『ショーシャンクの空に』以外が一位になってるのなんて初めて見た。これは絶対観に行く。

[映画][コメディ] 『ビール・フェスタ~世界対抗・一気飲み選手権』

Monday, June 2nd, 2008

 世界最大のビール祭とされる、ドイツはミュンヘンのオクトーバー・フェスト。その裏では、真のビール飲みたちが集まり競う秘密のビール祭、ビール・フェスタが極秘裏に開催されていた。そうとは知らずに迷い込んだ主人公のアメリカ人たちは、ドイツ人選手たちから散々に侮辱されて追い返される。来年のビール・フェスタで見返すべく、五人のチームを結成し、ビール飲みの厳しい特訓を重ねる主人公たち。挫折や過去のトラウマ、ドイツからの刺客、仲間の死を乗り越え、彼らは再びビール・フェスタの舞台に立つ。

『ビール・フェスタ~世界対抗・一気飲み選手権』

 という、久々にB級低俗コメディを。全く期待せずに見始めたら、意外にも、下品、下劣、下等と三拍子揃った上質なコメディ映画だった。挫折→チームの結成→立ちはだかる困難→チームの成長→最終決戦と、王道展開をきっちり押さえており、バカバカしい設定ととんでもない種目(例:2リットルくらいありそうなブーツ型ジョッキに入ったビールを早く飲み干した方が勝ち。一気飲みがデフォルト)さえ除けば、普通にスポーツ映画として通用しそうな内容だ。
 全体的によくできた良作ではあるものの、このスポーツ・コメディというジャンルには『ベースケットボール』『ドッジボール』といった金字塔が立ちはだかっているため、ベストとは言いがたい(特に「無駄に予算をかけている」感が無いのは、このジャンルにとっては致命的だ)。だが、もしビール飲みコメディというジャンルが存在すれば、この映画は間違いなく世界一と言えるだろう。なお、ギャグの方向性は、ファレリー兄弟あたりがOKな人なら全く問題無いあたりのライン。

[映画] 『シャーロットのおくりもの』

Saturday, March 8th, 2008

 春生まれの子ブタを屠殺から救うために奮闘する納屋の動物たちを描いた、純ハートウォーミング系の映画、『シャーロットのおくりもの』を。主演はクモのシャーロット(声はジュリア・ロバーツ!)で、助演にダコタ・ファニング。てっきりダコタ・ファニングが活躍して子ブタをなんとかする話だと思ってたら、全くと言っていいほどダコタは何もせず、納屋のクモとネズミがどうにかする、というストーリーだった。おとぎ話過ぎて大人向けとは言い難いが、ファミリー向け作品としての完成度は高く、映像的にも幾つか素晴らしいシーンがある。特にオープニングとエンディングの絵本風CGと、クモが巣を作るシーンは一見の価値あり。
 他の作業中の裏で「ながら見」していたところ、エンディングでサラ・マクラクランの歌声が聞こえてきて一気に引き込まれた。サラ・マクラクランはもともと好きだったけど、その中でもこのエンディング曲 “Ordinary Miracle” はベストの一つに入る、メロディアスな一曲。歌詞も素晴らしい。今度サントラか何かを探してみよう。

[映画] 『ヘルゾンビ』

Wednesday, December 26th, 2007

 『ヘルゾンビ』。原題は “The Plague”。酷い邦題だが、ゾンビと名がつけば『ゾンビパパ』だろうが『ゾンビ自衛隊』だろうが、ゾンビ映画ファンは観るとでも思われているのだろうか(まあ観るけど)。僕もとりあえず観てから、クライヴ・バーカーがプロデュースに絡んでいることに気づいた。
 子供たちがゾンビ的に大人たちを襲う、言ってみればそれだけの話だが、低予算っぽくもうまく終末感を出しており、テンポもそれほど悪くない。ゾンビ映画が好きなら、それなりに楽しんで観れるはず。ただ、全ての謎を放り投げたようなオチはどうかと思う。『怒りの葡萄』と言われてもなあ。

『ヘルゾンビ』

[映画] 『ヘアスプレー』

Sunday, October 21st, 2007

 10月公開映画の中で最注目作(僕の中で)の、『ヘアスプレー』を。あの『ピンク・フラミンゴ』のジョン・ウォーターズ監督作品の中では比較的に変態性の薄い『ヘアスプレー』の、リメイク版。まあハリウッドのメジャータイトルだし、そこそこ無難な出来になっているだろうと思って観たら。
 これがなかなか、普通に面白かった。いや、本当に。黒人差別やデブ差別をテーマに据えながら、底抜けに脳天気でポジティブな展開で微塵も深刻さを感じさせずに、勢いで最後まで突っ走る、娯楽ミュージカルの鑑のような作品だった。ジョン・ウォーターズ(とディヴァイン)の変態性や皮肉っぽさはもはや感じられないが、代わりに「『ヘアスプレー』ってこんなにいい映画だったっけ?」って思ったくらい、万人受けし得る一級の娯楽作品に生まれ変わっていた。日本では大ヒットはしないだろうけど、60年代のロケンロールと無駄に明るいミュージカルに抵抗の無い人なら、頭を空っぽにして楽しめるはず。
 それにしても、クリストファー・ウォーケンとジョン・トラボルタが夫婦役で共演するのを観る日が来るとは思わなかった。

2007年版 『ヘアスプレー』

[映画] 『夢駆ける馬ドリーマー』

Sunday, August 26th, 2007

 ドリームワークスのファミリー向け映画、『夢駆ける馬ドリーマー』を。ダコタ・ファニング主演という点が最大のセールスポイントな、競走馬育成物語。ドリームワークス・ブランドも大作ばかりではなく、こういう中堅どころの作品も結構リリースしているようだ。
 さすがはドリームワークス、キャストはいいところ揃いで、作品全体のクオリティも高い。しかし、おそらくファミリー向けだからだろう、ストーリーは完璧にお約束通り。良く言えば安心して観ていられるが、悪く言えば何の毒もサプライズも無い。僕も、ダコタ・ファニングやデイヴィッド・モース、それにカート・ラッセルが出ていなければ、きっと観なかっただろう
 ただ、馬の種付け料が二十万ドルとか、レースに出るために登録料等々で十万ドル以上必要といった、競馬界の金銭感覚がうかがえる部分はちょっと興味深い。予定調和的なストーリー展開とは言え、ラストのレースも十分に盛り上がるシーンだった。まあ普通に良くできた中堅どころの映画と言っていいと思う。

『夢駆ける馬ドリーマー』

[映画] 『グエムル 漢江の怪物』

Tuesday, July 31st, 2007

 個人的に韓国映画は肌には合わないと思っていたので、正直この韓国産モンスター映画も期待せずに観たのだけど。これがなかなかどうして、意外なくらい面白かった。設定に微妙なところや途中の中だるみ感も無いわけではないが、それを差し引いても凡百なB級モンスター映画とは一線を画した良さがあると思う。CGによるモンスターの映像も非常に良くできていて、それが真っ昼間の河川敷を暴れ回る絵面だけでも観る価値はある。これは思わぬ拾いものだった。

『グエムル 漢江の怪物』