Archive for the '本' Category


[本] クライヴ・バーカー『魔道士』

Sunday, May 27th, 2007

 ホラー映画愛好家なら避けては通れないホラー映画の一つ、『ヘルレイザー』。人気が出たホラー映画の常として次々と続編が作られ、近作では宇宙にまで進出したシリーズだ(これは『十三金』や『クリッター』にも並ぶ快挙である)。例によって続編の劣化も著しいが、一作目と二作目だけは観ておくべき作品だと思う。
 その初代の原作本『魔道士』(別名『ヘルバウンド・ハート』)を、古本屋で発見。クライヴ・バーカーが初代の監督もつとめたのは知ってたが、本も出していたのは気づかなかった。微妙に新書サイズで中篇なのが災いしたか、文庫の『血の本』シリーズ(ゴシックホラーの傑作。必読)ほどには見かけないので、そこそこ珍しいかも。うん、まあ、映画版とまるで同じ内容なので、特別に手に入れて読むほどではないけど、ちょっと懐かしいストーリーだった。今やファンタジー作家としての方が有名なクライブ・バーカーだが、原点はやはりこっちのスプラッタ・パンクだと思う。

クライヴ・バーカー 『魔道士』

[メモ][本] Max Brooks, “The Zombie Survival Guide”

Thursday, May 24th, 2007

 世の中にはサバイバル本なるジャンルが存在する。大地震や噴火、竜巻といったメジャーどころは言うに及ばず、それよりも幾ばくか遭遇率の低い事象についても、サバイバル本は出版されている。例えば、ゾンビが出たときのための本とか。
 ”The Zombie Survival Guide”。ゾンビの専門家が記したこの本には、”Use your head: cut off theirs.” といった、対ゾンビの実践的なアドバイスが詰め込まれているようだ。デフォルトが火葬の日本ではゾンビ・リスクは高くないものの、万が一ということもある。時間があればちょっと読んでみたい。

The Zombie Survival Guide: Complete Protection from the Living Dead

The Zombie Survival Guide: Complete Protection from the Living Dead
Max Brooks (著)

[本] リチャード・マシスン『ある日どこかで』

Tuesday, May 15th, 2007
リチャード・マシスン 『ある日どこかで』
『ふりだしに 戻る』 リチャード・マシスン 『ある日どこかで』

[本] ピーター・ヘイニング編『ヴァンパイア・コレクション』

Monday, May 7th, 2007
ピーター・ヘイニング編 『ヴァンパイア・コレクション』

[本] マイクル・コーディ『イエスの遺伝子』

Sunday, May 6th, 2007
イエスの遺伝子〈上〉

イエスの遺伝子〈下〉
マイクル・コーディ 『イエスの遺伝子』

[本] ジョージ・ドーズ・グリーン『ケイヴマン』

Monday, April 23rd, 2007

 ニューヨーク市内の洞窟に住み、「世界はY光線に汚染されている!」等の妄想を抱く、元ピアニストのパラノイア・ホームレス、通称ケイヴマン。ある日、洞窟の前に打ち捨てられた死体をきっかけに、ケイヴマンは「陰謀」を暴くべく調査を始める。という、ミステリー作品。ホームレス、パラノイア、ホモ、現代芸術家等々が登場し、異様な展開になるのだろうか。と思いきや、意外なくらい普通にまとまっているので、色物を期待すると肩すかしを食らう。まあ十年以上前の作品だし、ジェームズ・エルロイやア-ヴィン・ウェルシュやチャック・パラニュークの作風が今や普通となった現代では(いや、パラニュークは現代基準でも変態の部類かな)、ちょっと分が悪い気がする(★★★)。

ケイヴマン

ケイヴマン
ジョージ・ドーズ グリーン
HeartRails Graph

[本] “Nightmares & Fairytales”の新作が

Thursday, April 12th, 2007

 Serena Valentino 原作、ゴス系でダークなおとぎ話の”Nightmares & Fairytales”の新作が、1年9ヶ月ぶりに発売に。

Nightmares & Fairytales 3: 1140 Rue Royale
Serena Valentino Crab Scrambly

Nightmares & Fairytales 3: 1140 Rue Royale
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 と思ったら、作画が FSc じゃないなんて! あの人の絵が好きで買ってたんだけどなあ。

 FSc は、シンガポール人でありながら普通に冬コミに出典してたり(ゲスト・アーティストに吉崎観音や冬目景が!)、モーニング増刊に載ったりしていた、知る人ぞ知るコミック作家。ティム・バートンのアニメのデザインが好きな人なら、結構いける作風だと思う。とりあえずこの人のサイトの”muZz”は読んでおくべきかと。

http://www.fscwasteland.com/

[本] Shel Silverstein, “Giving Tree”

Monday, March 5th, 2007

http://homepage3.nifty.com/gotu_web/variety/comic/tree/tree01.htm

 シェル・シルヴァスタイン作、リンゴの木と少年の寓話。普通に味わい深いいい絵本なのだけど、この日本語訳のページを人気?声優のゴトゥーザ様後藤邑子が作っていたことにちょっとびっくり。サイトの他のコンテンツも面白いし。特にバイク合宿マンガとか。

http://homepage3.nifty.com/gotu_web/variety/comic/comic.htm

はてな曰く

趣味であるイラストはプロ並で、サイトで公開しているWEB漫画『ヨロシク・トゥモロー』は必見。本当に声優のサイトなのかと疑いたくなるのは仕様。

とのことだが、まさにそう思いました。

[本] マルコム・グラッドウェル『ティッピング・ポイント』

Sunday, February 18th, 2007

 ある商品やサービスが急激にヒットし、他に競合があるにも関わらず市場を席巻する、という現象をしばしば目にすることがある。例えばiPodはまさにそうだったし、最近だとNintendo DS人気がPS2市場さえも食い尽くし兼ねないほどに広がっている。あるいはYouTubeがいかに短期間で今の地位を築いたか、思い出してみるのもいいだろう。そうした、形勢が一気に「傾く」現象はそれほど珍しいことではなく、むしろネットで情報伝達が早くなったためか、近年ますます増えつつあるように思う。
 そんな爆発的ブームを理由づけて説明しようとしたビジネス書、『ティッピング・ポイント』。何年か前に米国でベストセラーとなり、今でもそこそこ支持されている本らしい(2007年2月現在でも本家 Amazon.com で書籍37位) 。ハッシュパピーやセサミ・ストリートなど実在の成功例を元に、どのような条件が揃えば劇的にヒットするのか、という仮説を打ち立てた野心的な内容。

ティッピング・ポイント―いかにして「小さな変化」が「大きな変化」を生み出すか
マルコム グラッドウェル Malcolm Gladwell 高橋 啓

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おすすめ平均 star
starあなたの人生を変える本だから
star違う発想の視点を得る絶好のネタ
star本当に愛せる人には限界がある(らしい)

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 要するにヒットが生まれるメカニズムの考察なのだけど、よくある低俗ビジネス書みたいに「こうすれば売り上げが10倍に!」とかいう怪しげなHow-To本ではなく、あくまで実例とそれに対する仮説を積み上げに徹しており、なかなか好感が持てる。仮説、といっても科学的に検証できる類のものとは思えないが、それでも爆発的ブームという現象自体は実在するわけで、百匹目の猿現象みたいなデタラメよりは遙かに信憑性がある。割れ窓理論スタンフォード監獄実験などが出てくるのも個人的にちょっと嬉しい。やや例が長くて冗漫な部分もあるけど、ブームに対する考え方の足がかりを得る本として、読む価値はあると思う。(★★★★)

Tipping Point - Wikipedia

Tipping Point - Net Version
 よくまとまっている要約。これだけ読めば大体分かるかも。
http://radio.weblogs.com/0107127/stories/2003/01/01/tippingPointNetVersion.html

[本] ブリジット・オベール『マーチ博士の四人の息子』

Wednesday, February 7th, 2007

 マーチ博士とその四つ子の息子の館に住み込みで働いているジニーは、ある日、館の中で「殺人」日記を発見する。日記の盗み読みを続けるジニーに対して、日記の書き手は殺人の予告を記し、その通りに殺人が起こってしまう。ジニーは自らも手記を綴り、ある時は殺人者の日記に書き込み、ある時はテープレコーダーを用いて、殺人者の正体をつきとめようと孤軍奮闘する。自らをマーチ博士の息子の一人と称する犯人。しかし、ジニーは誰が犯人かは分からないまま、日記とレコーダーを通じての奇妙なコミュニケーションを続ける。第二、第三の殺人が起こり、やがてジニーにもその矛先が向けられて──。

マーチ博士の四人の息子
ブリジット オベール Brigitte Aubert 堀 茂樹

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 と、一見すると「四人のうち誰が犯人?」という謎解きミステリーっぽいプロットだけど。正答につながるヒントがまるでないまま進行し、最後に意外過ぎる犯人でひっくり返されるので、真面目に犯人を推理しながら読むとバカを見る。ちなみに「四人全員が共犯だろう」と予想していた僕は、映画版『サイコ2』のラストと同じくらいの衝撃(あるいは脱力感)を受けた。全体的にやや中だるみ感があるのと、あんまり頭脳戦になってないあたりが残念だが、ジニーの憎めない性格と最後の鮮やかかつ泥臭い反撃は良かった。(★★★)
 これがブリジット・オベールのデビュー作。他には『ジャクソンヴィルの闇』を読んだけど、あっちは素敵なくらい容赦の無いゾンビ系パニックホラーの良作だった。ちょっと他の作品もチェックしてみたい。